第1章 穴無き穴と仲間達
な・・・何だかこう、この子無自覚でかっわいいなちょっと。
いいやだから私はレズビアンなんてものじゃ・・・いやそういう人を否定する気は無いですが、さっきからこの子あざと可愛いのとりあえず!!!!
荒れる邪心(?)を殴るように落ち着かせ、私は彼女の話に耳を傾けた。
「その・・・お兄ちゃんを、変えたいんです。」
「お兄さんを?」
お兄さんを変えるのに、彼女がマネージャーになることが関係するのかと問う前に、察したような彼女が続ける。
「お兄ちゃん、今水泳のオリンピックの選手を目指して、それで有名な鮫塚高校にいるんです。ただ、その・・・今のお兄ちゃんじゃ、きっと夢を叶えられないと思うんです。何と無くって感じですけど。だから、七瀬先輩達なら、お兄ちゃんを変えてくれるかもと思って、今マネージャーを。先輩方のサポートしかできませんけど。」
お姉さん・・・・涙が出ちゃうよ・・・!!!!!!
なんて兄思いのいい妹!!あわよくば嫁でいただいちゃいたいくらいの(←)健気さ!!!くぅ〜・・・そんなのに協力できるなんて七瀬君たちは幸せ者だなぁ。何だか朝ドラを思い出す。
そのあとも、私達は他愛もない話に花を咲かせながら、深夜の夜道を2人で歩くのだった。
ー・・・漸く彼女のうちに到着する。
中に招き入れて貰い、彼女が詳しい事情を両親に説明すると、何故か激励の声をかけていただいた。嬉しい、素直に嬉しいんだけど、私そんなに落ち込んで見えるんだろうか。
「あの、江ちゃん・・・なんて説明したの、ご両親に。」
彼女の部屋に案内されながら、耳打ちでそう聞く。
「ああ、流石に異世界がどうのこうのの話はしてません。ただ今ちょっと親が色々あって泊めてあげたい。・・・と。」