第1章 穴無き穴と仲間達
あ、下着のことも相談できるかも。なんて考えた私はハッとしたように周りの男子を他所に耳打ちでそのことを話した。
唐突だったせいか最初は「へっ!?」みたいな顔をされたが、理由を話すと納得したようだった。
・・・あれ、私今出会った人に下着貸せなんて言ってしまったのか。ハプニングってすごい。
「全然構いませんよ。サイズが合うかが・・・問題ですけど。」
「あの・・・勢いで聞いちゃったけど、本当にいいんですか・・・?見ず知らずの人間にそんなもの貸しちゃって・・・。」
そこが1番の疑問だった。今のところ出会った人全員、いい人すぎる。
もう裏に何かあるんじゃって位には。
「困った時はお互い様ですよ!お家見つかるといいですね。」
「う、うん・・・・!!」
可愛いだけじゃない、この子イケメンでもあるなんていけないわぁぁぁぁぁあああああああ。
先輩(といっても一年差)としてしっかりしなきゃいけないのは本来私のはずなのに・・・!ああでも江ちゃんになら別にいいかもしれないダメな先輩でも・・・!
「えっとー・・・それで、これからどうするの?」
真琴様が私のお花畑に割って入ってきてたことによって、ことは進んで行ったのだった。
***
「いいんですか・・・?こんなこと・・・。」
「もうハルをここに連れた時点で事は起きてるよ・・・。」
もう日の落ちた夜。
一向はしっかりしたマネージャーの言う事など一切聞かず、岩鳶高校のプールに侵入を試みていた。
「・・・やっぱりフェンスだ。」
「そうだね・・・!登るしかないね!!!」
中でも生き生きとしているのが七瀬君と葉月君。で特に七瀬君は飢えた獣のような眼光をしている。人が変わったようだ。
とうとうその眠れる獅子が起きた七瀬君はフェンスをよじ登り始めた。
(いいのか、こんなで・・・・。)
あの時、現場検証という事で私が現れた位置に戻ってみようという話になったのだ。そこでここにきた結果が今である。あの時やけに目をギラつかせた七瀬君を今でも忘れない。