第2章 新しい景色達
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夕飯。
一緒に夕飯計画(プレゼンテッドバイ松岡江)は地味にまだ続いていた。
しかし、悉く彼は本能的な何かに近いもので逃げ、今だ一緒に食べれた事はなかった。
実は一度、彼の部屋の前で食事もしたが、考え直して流石に気持ち悪いと思い、今は料理を作るタイミングを合わせ気味にしている。
そして、今日はやはりいつもと何か違う日になるようだった。
今日は七瀬君から夕飯を作り終え、私が作っているのだが・・・驚くことに、
(・・・まだ居間にいる・・・!!!!)
私はもうすぐ作り終わる。いつもなら私が作り終える数秒前位に食器を洗いにやってくるのだが、今日はそのゴールデンタイム(?)を過ぎていた。(因みに、ゴールデンタイムに間に合わないと察すると食器をお盆に乗せ自室に上がってしまう徹底っぷりである)
・・・っていうか、もしかして七瀬君・・・今まで私の作るものを手早く把握して、ちゃんと逃げられるように調節してたのかも・・・。
今更気付いた事実に少し肩を落とす。
・・・いや!!!大事なのは今だ!妙美よ!
包丁の光が小刻みに震え出す。え、待って私めっちゃ緊張してる・・・?
兎に角、私は自分の作った夕食達を居間に運び出す。
(い、いるーーーーーー!!!!!!!!!!!!!!!!!!)
私は自然と、彼からなるべく距離をとった位置に皿達を置いた。
彼をちらりちらりとすれば、平然とした顔で箸を器用に使って食事をしていた。
・・・なんと言うか、箸の使い方は私と変わらない筈なのに一段と綺麗に見える・・・なぜだ・・・。
「・・・ぃただきます・・・」
もんの凄い小声。
手を合わせながらも彼が小さな口を開けておかずを口に入れる一部始終を小刻みに見ていた。
(いる・・・・いる・・・!!!!)
宛ら気分は、未知の生命体と会食をする・・・といったところだろうか。
いやそもそも未知の生命体と会食何て言うシチュエーションがまずないー・・・。
1人ノリツッコミも心に染み渡りつつ、大きめのスプーンを手にオムライスをすくった。
そうしてそれを口に運び、また彼のお膳をー・・・
「ま、また鯖・・・?!」
「・・・」
彼とバチリと目があった。
(ひぇぇぇぇぇぇえええええ!!!!!!!!)