第2章 新しい景色達
横目で彼を見る。ふふ、と笑っていた。
「うん」
「なんでそんな腑に落ちないって顔してるの?」
「いや・・・そんなことは・・・」
「十分なくらい、何か納得いってない感じだけど?」
またも、私は彼に感心した。
そして同時に心の中の蟠りに手を伸ばすこととなってしまった。
「多分・・・なんだけど」
ー・・・あんなに拒否反応を示され続けて、突然優しい姿を垣間見たせいで扱いに困ってしまった・・・。
私が口にその言葉達を引っ掛けつつぎこちなく伝えると、彼は情けない「へ・・・?」という声を放つ。
「え、私変なこといった・・・?」
「ぶふっ」
「!?」
彼は腹を抱えて笑い出した。
「あはははははは!!!なぁんだ!!!そんなことかぁ!!あははははははははは!」
「ちょ、え、どこがおかしいの!?え?!」
全くわからない。とりあえず彼の爆笑に私も少し肩を震わせた。
「え、笑いが、伝染しちゃうやめて!ぶふっ」
「ち、ちなみにさぁ、優しい姿って、どんな?」彼が呼吸を整えながら喋る。
「えっと、うーん、掛け布団かけてくれたり、水仕事の手荒れ気にしてくれたりー・・・って、なんかあの人がそう言うことするとぶっ、確かにぐふっ、ちょっと面白いね・・・!」
前方の本人に聞こえぬよう、二人で顔を見合わせてクスクスと笑う。
「分かりやすい、でしょ?ぶっ・・・」
「う、ん・・・っ!ぶはっ!」
「極端なんだよ、ああいう顔してても、どっか分かりやすいっていうかさ・・・ってそれも面白いんだけど、それに悩んで今日一日あんな顔してた妙美ちゃんもよっぽど面白いよ」
「私一体どんな顔してたの?」
「うーん・・・」
真琴君は腕を組んで頭を捻った。
私はワクワクしながら彼の悩む顔を見つめる。
しばらくすると、彼ははっ、と真剣味を帯びた顔でこちらを見て、
「・・・モアイ、かな・・・」
私の腹筋が崩壊した。
真夏の下、私達は青空に向かって明るい声を上げていた。