第1章 穴無き穴と仲間達
・・・と言っても彼がそういうのも分かる。得体のしれない女を家に半日あげるなんてよっぽど器がでかくないと無理だ。別に彼の器が小さいとかは思ってない。
思って、ない。(二度)
「あの、彼の親御さんとか・・・。」
一応彼の思いを察する。先生はニコリと笑顔と言えない笑顔を浮かべた。
「彼は親が仕事でいないから一人暮らしなの。いいわよね・・・?やらなきゃ、今日部活禁止にしちゃうぞ。」
職権乱用の現場を見た・・・。天ちゃん先生貴方が一番よくわからなく逆らうのがいけない人物だと、私の中に眠る動物的本能が認識した。
彼は渋々私に鍵を押し付けると、「何も、いじるな。」と睨み付けてくる。
「当たり前だよ・・・。」私も苦笑いして鍵を受け取る。
「じゃあ3人は教室行って!貴方は1人でいける?」
3人がバタバタとその場から消えると私も学校を後にした。
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「あっづー・・・。」
夏だ。青い空、白い雲、夏の不思議・・・。
ヤダ私、まるで物語の主人公!?ミャハ(星)!
・・・なんて気分にいっそなりたい。蝉は煩く四方八方でぎゃいぎゃいしている。
背中を曲げてダラリとしながら蜃気楼の中を歩いた。そういえば・・・もしパラレルワールドなら、私の元いた季節と一緒だな。初夏って感じー・・・・・。
(何洗脳されてんだろう。)
苦笑い。(本日二回目)
もう顔の筋肉が固まって通常時ニヒルな笑顔を浮かべる女になりそうだ。
いやだいやだと、頬をぺちぺちして気を確かに保つ。
ひまわりの花がいじらしく咲いてる。
ぼんやり歩いているとそのうち目的地へついた。
ガタガタなる引き戸式の扉を開けて、中へ入った。
「いいにおーい・・・。」
畳の香り。お婆ちゃんのイメージが根強いが、あんな若もんがこんな家に住んでいるとちょっと崩れる。(あくまで私のイメージ。)