第1章 穴無き穴と仲間達
最初に真琴様が声を発した。
え、この先生・・・ちょっと危ないタイプの人・・・?可愛くてほんわかして天然入っているという完璧な私の中での"天ちゃん先生"像にヒビが入る音がした。
「え、こんな時に何の冗談?」真琴様は頬をひくつかせている。笑いと困惑が入り混じってなかなか面白い顔になっていた。
「天ちゃん本気・・・?」
葉月君がそれに続く。先生は前のめりになるように攻め入って意気揚々と言った。
「だからね?昔から言われてるのよ。突然見たことがない場所に行ってしまって、家が無いっていう状況が!」
世界不思議発見を思い出した。天ちゃん先生はきっと黒○徹子よりゴールデンヒトッシー君を手にいれるんだろう。
って何を考えてるんだ私は。
「もし本当ならすごいわ!!任せて、先生元の世界に帰れるよう何でもする!!!」目をキラキラさせまるで新しいオモチャを見つけた子どものようだ。
止めなきゃ玩具にされる・・・!(確信)
「ちょ、ちょちょちょちょっと待ってください。一回落ち着きましょう。あの、事件性とか無いんですか?私を消そうとしたとか。」
「貴方を殺そうとしたなら更衣室で倒れた時点で殺られてるはずだし、もし遠くにやろうとするならプールにいれて見つかる可能性をあげる必要ある?」
意外と鋭い。もうこの先生がよくわからない・・・。不思議ちゃん?不思議ちゃん分類なの?
「でも、パラレルワールド、なんて、いや笑えてくるんですけど。」
そのワードに腹筋が少し動く。笑えてきた。なにこれ。私気持ち悪い。
と、その時ちょうどチャイムがなった。
「いけない・・・!妙美ちゃんだっけ?とりあえず今から授業があるから、七瀬君の家ならわかるのよね?彼が帰ってくるまでそこにいなさい。」
「は?」
初めて人形だった彼が口を開いた。は?とは何だ、あからさまに嫌な顔されたら傷付くだろ・・・!