第4章 アイツの名前は流川楓
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小学生の時、いつものように公園に向かうと先客がいた。
フェンス越しにそっと覗くと、自分と同じくらいの年頃の男の子が練習しているのが見えた。
『(すごい上手い…!!)』
私は気付くとその男の子の動きを目で追い、夢中になって見ていた。
すると男の子がこちらに気が付いたようだった。
『ここ、使うのか』
男の子は無愛想な表情で問い掛けた。
『あ、いえ!今日はいいです!!』
私はすぐさまここから立ち去ろうとした。
『暇なら相手して』
やはり無愛想だったが、今まで誰かを相手にバスケの練習をしたことがなかった私は、
勇気を出してその男の子と練習する事にした。
1on1をしたが、対人練習が初の私は全く歯が立たなかった。
『下手くそ』
『うっ…ゴメンナサイ』
『挙動不審すぎ、慌てすぎ、弱気すぎ』
男の子の言葉がグサリと刺さる。
『私…上手くなりたい…』
『………』
『バスケ…好きだから…』
『じゃあ、練習すればいい』
『また…一緒に練習してくれる…?』
『………』
男の子が無表情なままでコクリと頷く。
『…流川楓』
『わ、私、三浦渚っ!』
この日から、私のバスケ仲間が一人増えました。
楓くんとはたまにだけど一緒に練習して仲良くなった。
男の子の友達なんて一人もいなかったから純粋に嬉しかった。
続く