第17章 ちょっとドキッとしちゃうじゃん
『あつい…』
渚は自室のベッドに横になって、
天井をボーッと眺めていた。
天井の模様がぐにゃりと歪む。
時計は午後二時をさしていた。
『(今頃、午後の授業かなぁ…)』
授業遅れちゃうのやだなぁ、
部活したかったなぁ、といろんな事を考えていると
しんどくなってきたので、目を閉じた。
渚は今日、学校を休んでいた。
少し身体が熱く、頭がクラクラしただけ
だったので大丈夫だろうと、学校へ行こうとしたら、
まっすぐに歩けず、これはやばいと思い学校は休む事にした。
熱を計ってみると案の定、熱があったので
薬を飲んでベッドでおとなしくしていた。
―――
気が付くといつの間にか眠っていたようで、
目を開けるとベッドの横に誰かいた。
『…楓…くん…?』
『…おう』
渚がよく知っている人物、流川がそこにいた。
『…学校は?』
『サボった』
『…なんで…』
『別にいいだろ』
流川は無愛想にぷいとそっぽを向く。
『風邪なのか?』
『…そうかも…』
やはり無表情な流川だったが、
心配してうちまで来てくれていると思うと、
途端に流川が可愛く見えてくる。
『……あつい…』
渚がボーッとして呟くと、
流川がコンビニ袋をガサゴソあさり、何かを取り出した。
『これ』
流川が取り出したのはコンビニで買ってきたであろう、
ゼリータイプのドリンクだった。
流川は無言でドリンクのキャップを外し、
渚の目の前に差し出す。
『飲め』
『…自分で飲めるよー…』
『顔にしんどいって書いてある』
『…うん、しんどい』