第16章 さよなら、昨日までのわたし
渚は目をパチクリさせる。
『あっ!三井さんでしょ?』
晴子がピッ人差し指を立てる。
『そうよ!あんたには頼れる先輩がついてるでしょ!』
『渚さんは知らないかもしれないけど、
三井さんって中学の時すごかったのよ!』
『三井先輩が…』
『だから元気出しなさい!』
『流川くんも本気でそんなこと言った訳じゃないと思うわ』
『うん…ありがとう、話したら楽になった…!
私、明日からもっともっと頑張る!』
―――
次の日。
『渚、おはよ!』
朝練に来ていた渚に、彩子が元気よく挨拶する。
『おはよう、彩ちゃん』
『渚切ったのね、可愛いわよ』
渚は背中まであった黒髪を、肩にかかるくらいの長さまで切っていた。
『今日から生まれ変わったつもりで頑張る…!』
渚が拳をギュッと握り締めて意気込む。
そこへ朝練へ流川があくびをしながらやってきた。
『ふぁ…ねみぃ』
『楓くん、おはよ』
『…渚…!?』
髪を切った渚を見て、少し驚いたような顔をする流川。
『私、バスケもっともっと上手くなるつもりだから
………覚悟しててね』
いつにもなく強気な渚に、目をパチクリさせる流川だった。
続く