第16章 さよなら、昨日までのわたし
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『んん~っ、おいし~っ』
場所は商店街前の公園。
三人はベンチに座り、屋台で買ったクレープを頬張った。
『やっぱ疲れた時は甘いものよねー』
『渚さん、どう?おいしい?』
晴子が首を傾げて、渚の顔を覗き込む。
『うん、おいしい…!』
『渚、今日元気なかったけど、何かあった?』
彩子も心配そうに渚に聞く。
すると渚は小さな声でボソッと呟いた。
『…お前、バスケ向いてない』
『えっ?』
『言われたんだ…楓くんに』
『…流川に?』
『中学生の時だったかなぁ…
一緒にバスケの練習してたら言われたんだよね』
『うん…』
『その時は気にしないようにしてたんだけど、
昨日、ふと思い出しちゃって』
『流川は思ったことストレートに言うからねー…』
『あれから二年くらいたって今でもバスケ好きだけど、
私全然成長してないなぁって…』
食べかけのクレープを握りしめたまま、
しゅんと悲しそうな顔をする渚。
『(楓くんはどんどん上手くなってるのに…
私は変わらないまま)』
すると彩子が渚の頭をわしゃわしゃと撫でた。
『渚ってば、ほんっとーにバスケ好きなのね!』
『……うん』
『大丈夫よ!渚はこれからどんどん上手くなる!』
『そう…かなぁ…』
『だって、今はつよーい味方がいるでしょ?』