第15章 会えて良かった
『だああっ!お前ら!!』
今まで黙って聞いていた三井が痺れを切らして叫ぶ。
『練習の邪魔だ!帰った帰った!』
『なんだ…俺らはアドバイスしてるだけだろうが』
『まぁまぁ赤木、俺たち邪魔みたいだし、今日はもう帰ろう』
木暮が何か察したようで赤木の背中を押す。
赤木は頭上に疑問符を浮かべたまま帰っていった。
『じゃあな、三井、三浦!戸締りよろしくな』
『はいっ!お疲れ様です』
『わーったからとっとと帰れ!』
赤木と木暮が帰って静かになる体育館。
『さてと、言いたいことはほとんどあいつらに
言われちまったが、とにかく練習あるのみだ!
俺と練習するときはもうぶつかってもいいから、
思いっきり突っ込んでこい!』
三井がニッと歯を見せて笑う。
『私に…出来ますかね…』
渚が不安そうな顔をするが、三井が渚の頭にポンと手を置く。
『お前なら出来るよ、大丈夫だ、
女子にぶつかられて怪我するほどやわじゃねぇ、
もしぶつかっても俺が受け止めてやるから』
少し照れくさそうにそう言う、三井の耳はほのかに赤かった。
『(さ、さすがに今のセリフはクサすぎたか…?)』
『三井先輩…ありがとうございます!』
元気を取り戻した渚を見て、ホッとする三井。
『今日はもう遅いし、帰るか』
『はいっ…あの、私、三井先輩と会えて良かったです』
渚がくるりと振り向きざまに微笑む。
その笑顔にドキッと心臓が跳ねる。
『(そんな笑顔向けられたら、
どんな顔していいかわかんなくなるだろーが…!)』
続く