第15章 会えて良かった
三井が渚の様子見をしていると、渚がしんどそうな顔をして、
シュートの構えを取った。
それを見て三井も慌ててボールを叩き落とそうとするが、
間に合わず、渚のシュートを許してしまった。
ボールは綺麗に弧を描き、リングに吸い込まれていった。
『なっ…これじゃ、練習になんねぇだろ』
『ご、ごめんなさい…1on1の練習、
楓くんに付き合ってもらったことあるんですけど、
全然ダメで…さじ投げられちゃいました』
渚は苦笑いして、少し寂しそうに俯く。
『まずはだな…』
三井がそう言いかけた時だった。
『三浦、お前は少しディフェンスを怖がりすぎてねぇか?』
『あ、赤木先輩!』 『赤木!』
『ディフェンスなんだから、抜かせないように
立ちふさがってくるのは当然だ。
そんな時に目をつぶってしまっていては
抜けるもんも抜けねぇぞ』
『そうだぞ、せっかくドリブルもシュートも上手いのにもったいない』
赤木の後ろから木暮もひょこっと顔を出した。
『(グッ…赤木に木暮…俺の言いたいことを全部言いやがった…)』
『私、ディフェンスを前にすると怖くて…
相手に怪我させちゃったらどうしようとか…
早くボールを手放してしまいたいって気持ちになっちゃうんです
…こんなんじゃダメですよね…』
『試合経験は?』
『ないです、今まで一人で出来ることばかり練習してきましたから』
『まぁ、こういうのは練習あるのみ、だな』
『そうだな、慣れればきっと怖くなくなるよ』
木暮がニコリと笑い、優しくアドバイスをする。