第13章 お掃除大好き!
『ええい!こんなもの!』
桜木が現状を打開するべく、エロ本をつまみ、ごみ袋に投げ捨てる。
『もう大丈夫ですよ!渚さん!
全く…神聖な部室にあのようなものを誰が…』
『えっと…び、びっくりした…!』
『あんなものの事は忘れて、掃除を再開しましょう!』
『う、うん…』
気を取り直して掃除を再開する二人。
さっきの件もあり、なんとなく気まずい雰囲気になる。
『それにしても他の奴ら遅いですね…』
『そうだね…』
会話もすぐに途切れてしまう。
渚は箒で床を掃いた。
するとまた埃が舞ったので、窓を開けようとすると
そこにあるものが見えた。
『…!?』
茶色く黒光りする小さなもの。
それはまさしく皆に恐れられる生物Gだ。
『きゃああっ!!』
渚は持っていた箒を放り投げ、桜木にすがりつく。
『うおっ!?渚さんっ!?』
桜木は渚にいきなり抱きつかれドキドキする。
『あ…あああアレがいた…!!』
『アレ…!?』
『ゴゴゴゴゴゴキブリ…!!』
『ま…マジすか…!!』
『私…アレだけは本当に無理…』
渚は桜木にすがりついたまま、ブルブル震える。
『だ、大丈夫ですよ!!俺が…何とかしますから!!』
桜木と渚はお互い、違う理由で心臓がバクバクしていた。
するとようやく誰かが来たようで部室のドアが開いた。
『…お、お前ら何してんだ…!?』
部室のドアを開けたのは三井だった。
部室内で密着している二人を見て、目を見開く三井。
『おお!!ミッチー!!』
『三井先輩!!』
二人はまるで救世主を見つけたような目で三井を見る。
『な、なんだ!?お前ら…!!』
『『Gが出た!(んです!)』』
『…はぁ?』
その後、三井にGを退治してもらおうと、部室内を探し回ったが、
Gは逃げ足が速く見つからなかった。
そして後日、部室の隅で何者かに踏み潰されたGらしきものがあったとか。
続く