第11章 下まつげの嫉妬
『あ…楓くん』
『もう大丈夫ですよ!!渚さん!!
この天才バスケットマン桜木が来たからには!!』
『桜木くんもお疲れ様…聞いたよ?
まだバスケ始めたばっかりなんだってね、そうは思えないよ』
『ええ!?そうっすか!?
まぁ、天才なもんですから!!』
桜木がなははと調子良く笑う。
すると今度は三井がやってきた。
『桜木は褒めるとすーぐ調子に乗るからな』
『ムッ!ミッチーめ!この天才に嫉妬して!!』
『んな訳あるか!馬鹿野郎!』
『三井先輩もお疲れ様です、これどうぞ』
『さ、サンキュ(やべー!!早速俺の夢、叶っちまったよ…)』
渚にタオルを手渡され、平静を装うが内心、テンションが上がりまくる三井。
『フッ…ミッチーが渚さんとこうしてられるのも全部、この天才桜木のおかげ…ぶほっ!!』
『桜木!オメーはいちいち一言多いんだよ!!』
三井はしっしっと猫を追い払うように、桜木を追いやった。
『三井先輩ってシュートフォーム、すごく綺麗ですよね』
『そ、そうか?いや、でも俺は…』
『…?』
お前のシュートフォームの方が綺麗だったよ、
その言葉が脳内に浮かんでいるのに、なかなか口に出せない。
『その、お前のだな…』
三井が言葉に詰まっていると、渚の腕を後ろから誰かが掴んだ。
渚が振り返ると、すでに着替えを済ませた流川が立っていた。
『あ、楓くん』 『流川!!』
『帰るぞ』
『えっ…ちょ』
渚はそのまま流川に引きずられるようにして体育館を後にした。
続く