第11章 下まつげの嫉妬
『どうぞ…あの、さっきのドリブルすごく綺麗でした…!』
『えっ?…サンキュ!』
『お疲れ様です…さっきのフェイク、違和感が全然なくて凄かったです!』
『ほんと…!?ありがと!』
『はい…今日一番シュート多く入れてましたよね…?
私も見習いたいです…!』
『…すげー…そこまで見てたの!?』
渚は部員たち一人一人にタオルを配る時に、何かしら言葉を添えていた。
部員たちは、頑張って良かった…とホロリと涙を流した。
『すごいな…三浦、よく見ているんだな』
赤木も渚からタオルを受け取り、感心したように言う。
『私も、見習う所いっぱいあるから…勉強になります』
渚はそう言うと、残りの部員たちの元へと急いだ。
『楓くん…はい、これ』
『…』
流川は無言で渚からタオルと受け取った。
『…お前、なんでマネージャーなんかに…』
『…あの……私…やっぱり迷惑…かな…』
渚がタオルを抱えたまま、しゅんとする。
そこへどこからともなく桜木がやって来た。
『わー!!流川が今まさに女の子を泣かそうと!!あの流川が!!』
桜木はわざと大げさに大声で叫んだ。
『…チッ…うるせー奴』
流川は軽く舌打ちして、更衣室の方へ去って行った。