第11章 下まつげの嫉妬
『…という事で今日からマネージャーが一人増える事になった』
『三浦渚です、よろしくお願いします』
渚が軽く自己紹介をし、深々とお辞儀をする。
部員たちは最初は驚いていたようだったが、
新マネージャーの加入でテンションが上がっていた。
『可愛い子だな、大人しそうだし』
『足ほっせー!折れそう!』
『二年にあんな子いたっけか?』
部員たちがヒソヒソと話すのを見て、三井はムスッと不機嫌そうな顔をした。
そして、もう一人不機嫌な奴がいた。
『…どあほう』
流川が小声で言った言葉を、桜木は聞き逃さなかった。
『流川、あのバスケ少女と知り合いか!?』
『…幼馴染みだ』
『あんな美少女が流川なんかと…』
桜木が面白くなさそうな顔をする。
渚の自己紹介が終わると、練習はいつも通り開始されたが、
部員たちは新マネージャーが気になって練習に集中出来ないようだった。
『……視線が痛い…』
『ヒュー!モテモテじゃないの!』
彩子が口笛を吹いて渚をからかう。
『穴があったら飛び込みたい…』
『まぁまぁ!すぐに慣れるわよ!
そういう意味ではマネージャー業は渚の為になるかもね!』
『私の為…?』
『ほら、渚ってシャイすぎるから。特に男相手だとね。
そういうのに慣れるにはもってこいかなーって』
『か、楓くんとは話せるもん…!』
『流川とは小学生くらいの頃からの付き合いだから慣れてるんでしょ?
だから流川はノーカン!』
彩子が目の前でバッテンを作ると、
渚がムッとしれ頬を膨らませる。
『あら可愛い』
『か…可愛くないもん…』
その様子を見ていた部員たち。
『…なんかあーいうのドキドキするな』
『…変なもんに目覚めてしまいそうだ』
『(俺にはまだあんな顔してくれねーんだよな…)』
『…どあほう』
『コラァ!練習に集中せんか馬鹿たれがァ!!!』
本日何度目かわからない赤木の怒号が体育館内に響き渡った。
その後もいつも通りの練習メニューをこなし、今日の練習は終了した。
渚がすかさず汗だくの部員たちにタオルを配る。