第9章 燃えろ炎の男
『さぁ!今日も部活頑張るわよーっ!』
『おおーっ!!』
バスケ部マネージャー彩子の声に続き、部員たちの暑苦しい掛け声が体育館に響き渡る。
彩子が、部員たちが体育館内をランニングしている様子を見ていると背後から気配を感じた。
『…渚?』
見ると、渚が扉の影からこっそり見ていた。
『あ…彩ちゃん』
『どうしたのー?あ、もしかして流川見に来たの?』
彩子が気さくに渚に話しかける。
渚と彩子は、中学が同じでお互いバスケが好きで仲が良かった。
『三井先輩が…』
『えっ!?何何!?もしかして渚、三井先輩の事…!!』
彩子がニヤニヤして渚を見る。
『ちっ、違うよ!実はかくかくしかじかで…』
事情説明中。
『へぇー、そんな事がねぇ…っていうかそれ、どう考えても三井先輩が渚に…』
『…え?』
『あっはっはー!なんでもないよ!
まぁ、とにかくバスケ部、見て行きなよ!』
そう言うと彩子は強引に渚の背中を押し、体育館に入れる。
その様子に部員たちも気が付いたようだ。
『…渚』
『流川の彼女なのか?』
『……違う、幼馴染み』
流川がやはりいつもの無表情で話す。
『三井先輩、もしかしてあの子が…』
『ああ、あの子だよ…マジで来てくれるとは思わなかったぜ』
宮城と三井が走りながらヒソヒソと会話する。
すると渚は三井が走っているのが見えたようで、控えめに手を振る。