第1章 小さなきっかけ。
そんな時だった。
「君、優斗の知り合い?」
背後から声を掛けられ、
琴乃は振り返った。
そこには身長が高く、整えられた髪型に
整った顔立ちの茶髪の男が立っていた。
琴乃は無言で頷いた。
「へぇー。妹ちゃんか何か?」
男はニコリと笑った。
琴乃は首を横に振った。
「え?じゃぁ、彼女とか?」
男は驚いたようにそう聞いた。
琴乃が頷くと更に驚いた顔をした。
「へぇー!あいつ高校生と付き合ってんだぁー。やるなぁ。」
男はケラケラと笑った。
琴乃はバカにされた気分になり
思わずむっとした。
「あー。ごめんごめん。バカにしてるんじゃないんだ。で?優斗は?」
男は軽く頭を下げると再びニコリと笑った。
「いない。」
琴乃がそういうと
男はワサワサと頭をかいた。