第1章 小さなきっかけ。
琴乃は恵まれている。
美しく完璧な母。
金をたくさん稼いでくる父。
カッコイイ年上の彼氏。
裏切らない友人。
世界は思い通りに回っていた。
気に食わない奴もこの失踪事件によって
姿を消した。
『きっと私は
神様に愛されているんだ。 』
勝手にそんな事を考えていた。
学校を出ると真っ直ぐに
優斗のアパートへ向かう。
30分ほど歩いた頃に
優斗のアパートに到着した。
琴乃はインターホンを鳴らす。
が、誰も出てこない上に
人の気配はない。
留守だったようだ。
30分もかけて歩いてきたのに
思い通りに行かず
イライラとしてきた。