第6章 復讐。
地下室に行くと琴乃は言葉を失った。
生臭くてツンとした凄まじい匂いが漂う。
床にこびり付いた赤黒い何かが何なのか理解したくない。
壁に貼り付けられているソレは何なのか
琴乃はただただ青ざめていた。
「これはね、僕のコレクションさ。美しいだろう?人間っていうのはね上手く加工すればずっと腐らずに保管する事が出来るんだ。ほら、虫の標本とか動物の剥製と一緒さ。」
父はそういうと自慢気に琴乃にそれを見せ付けた。
人間は本当に恐ろしいと声すら出ないんだ。
琴乃はただ震えながらソレを眺めていた。
「あぁ、これは琴乃の学校の子だろ?知り合いか?」
一つのソレを指差して父は満足気に笑う。
「これはね、間違えてしまったんだ。彼女の後姿は琴乃によく似ていてね。まさか娘と他人を間違えてしまうなんて…」
父はそう言って笑うと琴乃を見た。
「でもね、やっと僕のコレクションに琴乃が追加されるんだよ?あぁ。お父さんは嬉しいよ。」
父の目は見たことのないぐらい生き生きとしていた。
そしてそれは琴乃にとって恐怖でしかなかった。
「大丈夫。痛いのは一瞬さ…そうすれば、君も美しいままさ?ほら…琴乃。」
そう言って父はナイフのようなものを振り上げた。
琴乃は目をつぶった。