第5章 絶望。
再び目を覚ました時、
琴乃はあたりをキョロキョロと見回した。
その時には随分と意識がはっきりとしており、
そこが誰かの部屋である事が理解できた。
どこか別の部屋で人の気配がする。
夢でなければここは彰人の部屋であろうか。
琴乃はゆっくりと起き上がった。
夢でなければ先ほどまで彰人が座っていたであろう
椅子の前の机には乱雑になにかファイルやノートのようなものが広げられていた。
ゆっくりと机に近づく、
そして、そのファイルを覗き込む。
「女子高生連続失踪事件…?」
琴乃がページを捲ろうとしたとき、
背後から物音がした。
「ごめんねー。琴乃ちゃん。それ以上はちょっとダメかなぁー」
彰人が琴乃の方を鋭い目つきで見つめて居た。
「…。」
琴乃が黙り込んでいると、
彰人はこちらへと歩み寄ってきた。
そして、その資料とノートの山に
布をかけた。