第5章 絶望。
ふわふわと暖かくて、心地よくて…
たばこ臭くて…
ここはどこなのだろう…?
微かに声が聞こえてくる。
少しだけ耳をすませてみる。
「…はい。…被害にあったかと思われる女子高生はこちらで保護しています。…はい。…資料に記名のあった葉月琴乃です。…はい。…そうですか。では、今回は別件ですか?…あぁ。なるほど。…はい。」
琴乃の名前?
保護?
資料?
別件?
この真面目な声は誰の声?
うっすら目を開ける。
彰人の後姿が見える。
うそだー。
彰人なわけないよ…。
夢だ…。
きっと・・・。
琴乃は再び目を閉じた。