第4章 約束。
逃げなきゃいけない。
そう思ったとき、
葵は琴乃の腕を乱暴に掴んだ。
『ねぇ?なんで何も言ってくれないの!?!?約束!!!!したよね!!!????』
葵は半笑いのような顔で琴乃の顔を覗き込んだ。
琴乃は小さく首を横に振った。
「はぁ!!??なんで嘘つくの!?ねぇ、なんで?なんで琴乃ちゃんはいつも私との約束を破るの!?ねぇねぇ!?なんで!?なんでなの!?」
琴乃は無理矢理葵の腕を引き剥がすと、
そのまま葵を突き飛ばし、
部屋から飛び出した。
「ねぇ!?どうして!?どうして!?琴乃ちゃん!どうして!?」
慌てて階段へ向かう。
駆け下りようと階段の下を見つめた時、
葵のお兄ちゃんが階段の下からこちらをニタニタとした顔で見つめて居た。
どうしよう。
どうしよう…。
振り向けば葵がニタニタした顔でこちらを見ていた。
"何もしなければ害はない"
そうだ。
そのはずだ。
琴乃は階段を駆け下りた。