第4章 約束。
駆け下りた先、
葵のお兄ちゃんはじっと琴乃をじっと見つめるだけだった。
玄関まであと少し。
もう少しでここから逃げれる。
腕をつかまれた。
振り返ると、
おばさんが琴乃の腕を掴んでいた。
「あら?もう帰るの?ゆっくりしていきなさいよ。」
おばさんもあの顔をしていた。
「ごめんなさいっ!!!!ごめんなさいっ!!!!!」
ひたすらに謝りながら琴乃はおばさんの手を
無理矢理引き払うと、
慌てて外へと逃げ出した。
しばらくがむしゃらに走った。
「…っはぁ…っはぁ…んで…なんで…?」
絶望するようだった。
どれだけ走り回ってもそこは
変わらぬ住宅街ばかりであった。
「琴乃ちゃん。みーつけた。」
背後からのその声にぞっと寒気がした。