第4章 約束。
それから次第に男性は奇声を発し始めた。
それでも、二人は無反応だった。
怖くてたまらなかった。
「ごめんなさい。もうお腹いっぱいなので…食べれません。ごちそうさまです。」
琴乃がそう言って席を立ち上がると、
その男性もゆっくりと立ち上がり、
ニヤニヤと琴乃の方を向いた。
ぞっとした。
蛇ににらまれた蛙のように
動けなくなった。
「…お兄ちゃんやめて。葵の友達なの。」
初めて葵がその男性の存在に声を掛けた。
男性はニヤニヤとしたまままた、
食卓にゆっくりと腰掛けた。
「行こう。琴乃ちゃん。」
葵もゆっくり立ち上がると、
琴乃の手を握り部屋へと誘導した。