第4章 約束。
目が離せなかった。
ドアが開いて現れたのは
小柄な男性だった。
目がどこか挙動不審でぎょろぎょろと動きまわっていて、
先ほどから聞こえるうめき声のような声をずっと上げていた。
その男性はゆっくりゆっくりと食卓までやってきて、
先ほどの空席へと腰掛けた。
でも、葵もおばさんも
まるで気付いていないかのように
その男性に声を掛けることもなかった。
琴乃は一人でうろたえるばかりだった。
「ん?どうしたの?琴乃ちゃん?」
「えと、この人は…」
『 え?だから、誰もいないよ? 』
ぞっとした。
何かがおかしい。
異常だ。
男性はモソモソとご飯を食べ始めた。
たまに琴乃の方を見てニヤニヤと笑っていた。