第3章 秘密。
そうだ、きっとこれは彰人が仕組んだ罠だ。
IDとPWを教えたのもあいつだし、
きっとこうやって私をからかって遊んでいるんだ。
琴乃の母に成りすまして、
彰人が優斗にメールをしたに違いない!
慌てて優斗のPCを閉じると、
琴乃は時計を見た。
まだ優斗が戻ってくるまで10分以上はある。
琴乃は携帯から彰人の電話番号を探すと、
すぐに電話をかけた。
彰人はわりとすぐに電話に出た。
「あの、どういう事なんですか?いたずらはやめてください!」
琴乃のその一言にしばらく彰人は沈黙を守っていたが、
何かをきっかけに大声で笑い始めた。
「何、何?何があったの?教えてよ。」
彰人はヘラヘラと笑いはじめた。
「とぼけないでください!私の母になりすまして、優斗にメール送ったのあなたですよね?」
「へぇ?優斗、琴乃ちゃんのママとメールしてるんだぁ?で?どんな内容?」
「はぁ!?あんたが送ってるんだからわかるでしょ!?」
琴乃が強めにそういうと、
彰人は何がおかしいのか大爆笑しはじめた。
「悪いけど、俺送ってないから。けど、知ってたよ。あんたのママと優斗が浮気してた事。知ってたからあんたに気付かせてやったんだよ。どう?面白かった?」
「…なにいって…」
頭が混乱して
まともな思考になれなかった。
あわてて携帯の通話をきると、
少し落ち着きたくて外へと飛び出した。
飛び出すときに気がついた。
優斗の玄関にあったあの靴は
昨日、私の家にあった靴と同じだった。
昨日と今日の違和感の原因は
コレだったのだ。