第1章 小さなきっかけ。
先ほどテレビでやっていた事件は
琴乃の住んでいる地域で起こっている事件なのだ。
それ故に、
近頃は通学路にたくさんの警察官らしき人が
うろうろとしている。
これだけ警察がいるのだ。
よっぽど人気のないところへ行かない限り、
怪しい人物が居ようものならきっと誰かが助けてくれる。
琴乃はそんな事を考えながら
怖がる事もせず、学校へと足を向ける。
学校に到着すると、琴乃は席につく。
すかさず、友人の佐野葵(さの あおい)が琴乃の方へ駆け寄ってくる。
「琴乃ちゃん!おはよ!ニュース見た!?」
葵は興奮気味に琴乃に尋ねた。
「んー?あ、もしかして失踪事件の?」
「そう!あれの被害者ね、B組の山根さんらしいよ!琴乃ちゃん1年の時仲良かったよね!?」
「ふぅーん。」
その事を聞いて驚きの気持ち半分、
ざまーみろという気持半分という感じだった。
1年の頃、確かに最初は仲が良かった。
が、琴乃はあいつに彼氏を寝取られたのだ。
人のものが好きな汚い女だった。
それ以来絶縁状態になっていたが、
最近、再びあいつの方から話しかけてくる機会が増えてきて鬱陶しく思っていた。
恐らく、最近琴乃に彼氏が出来たのを知って、
また寝取りに来たに違いない。
そう思っていたので、
こんな事件に巻き込まれてしまったのは可哀想だと思うが、正直ざまーみろ。と思ってしまう。