第3章 秘密。
琴乃は車から降りると、
その紙を広げた。
二つの英字の羅列があった。
彰人は琴乃がそのメモを見たのを確認したのか、
ニヤリと笑い、車を発進させた。
「…見ないっつーの。」
琴乃は溜息をつきながらも、
そのメモを捨てることなくポケットへとしまった。
そして、
優斗の部屋へと向かった。
いつものようにインターホンを鳴らすと、
いつものように優斗がドアをあけた。
いつものように玄関に入り靴を脱ぐ。
あれ?
この靴…
どこかで見たことあるような…?
また変な違和感を覚えた。
いやいや、当たり前か。
これは優斗の靴なんだから。
見たことあるに決まってる。
…疲れているせいかな。
「琴乃?」
優斗が不思議そうに琴乃の顔を覗き込む。
「ううん」
琴乃は笑顔で首を振り、
部屋へと上がった。