第3章 秘密。
教師が眉間にシワを寄せたまま
優斗と会話をする。
優斗がうまくやってくれているのか、
次第に教師の眉間のシワは薄れていった。
教師は受話器を置くと、
琴乃に荷物を持ってくるように指示した。
どうやらうまくいったようだ。
琴乃は教室に荷物を取りに戻った。
「琴乃ちゃん!!大丈夫?」
葵がすぐに駆け寄って来た。
「ん。早退する。」
琴乃がそう伝えると葵はうつむいた。
「…そっかぁ…じゃぁ、今日も一緒に帰れないね…たのに…」
「え?」
最後の方が聞き取れず、
思わず聞き返したが、
葵は「なんでもない」とへらへらと笑うだけだった。
琴乃は葵に見送られるまま、
教室を後にした。