第3章 秘密。
琴乃は慣れた手つきで
電話番号を押した。
"プルルル"
電話の呼び出し音がなる。
「はい。もしもし?」
「琴乃です。」
「え?琴乃?どうした?」
優斗の低く優しい声が聞こえる。
少し驚いているようだった。
「すいません、今学校で、具合が悪く早退することになったのですが今日は母が家に居ないのでそちらの家にお邪魔してもいいですか?」
「ん?琴乃?どうした?」
優斗は混乱しているようだった。
「いいからあわせてよ。」
琴乃が小声でそういうと、
優斗はなんだか笑っていた。
「あー。なんとなく察した。さぼり?しゃーないから協力してやるよ。」
優斗の返事を聞くと、
琴乃は後ろで待機している教師に
受話器を渡した。
教師は少し疑っているのか、
琴乃をじっと睨み付けると
ゆっくりと受話器を受け取った。