第1章 プロローグ
「鳳くんも、せっかくの休憩時間だから、ちゃんと休んで?」
「そうだよー!私もえみも楽しんでるから!」
「ありがとう。じゃあ、行くね。」
去っていく鳳くんの背中を眺めた。
跡部先輩よりも背が高い後ろ姿。
もう先輩はいないんだな…
鳳くんが離れたのを確認してりさが口を開く。
「ちょっとーーー!えみーー!いつから鳳くんとあんなに仲良くなったのよーー!」
ぼーっとしているえみをりさはバシバシ叩いた。
「へ?」
「鳳くんたら、えみ一直線じゃないー!私には目もくれず!」
「そ、そう?」
「しかもー!日吉くんに嫉妬してるように見えたよ!」
「しっしっしっしっとぉぉぉぉ??ないない!無い!」
「やるわねー、えみ。」
りさは気持ち悪い笑顔で見てくる。
そんなの、あるわけないじゃん!
「まぁ、様子見ね。」
様子見ってなんなのよ。
「っていうか、反対に日吉くんに対するよそよそしさは何なのよ。」
りさは呆れたって顔をする。
「だって…日吉くんってちょっと怖いじゃん!」
「まぁ、私は喋ったこと無いからわからないけどー。」
ちょっとして休憩が終わってまた練習が始まった。
「そろそろ帰ろっか。」
「うん。」
30分ほど見学したあと帰ることにした。
鳳くんのおかげで、テニス部を見るのが辛くなくなった。
もう先輩はいないし、テニス部は新しい部長のもと頑張ってるんだ。