第2章 変化
「それでその、何て、答えるつもりだった?」
鳳は眉を下げてえみに尋ねる。
とても不安そうに。
でもその答えはえみにもわからなかった。
りさがいるから話したりできてる部分もあるし…。
「…わからない。…友達って言ってよかったのかな?」
私なんかが、鳳くんや日吉くんの友達を名乗っていいの?
えみは鳳が『もちろん、友達だよ!』などと言ってくれると期待した。
しかし。
「友達じゃないよ…。」
鳳は立ち止まった。
つられてえみも立ち止まる。
えっっっ!!!
えみは突然の友達じゃない発言にショックを受ける。
「あのさ、俺、愛内さんを守りたいよ。だけど…何て言うか…友達としてじゃないんだ。」
では、聖職者として、でしょうか。鳳くん。隣人愛とか…?
「…彼氏、って名目が欲しい。」
えみは鳳が何を言っているのか理解するのに時間がかかった。
彼氏?
それって…えっ!?
ただ驚いた顔で自分を見つめるえみに、鳳は決意した。
「好きなんだ。愛内さん、俺の彼女になってくれないかな?」
その真剣な眼差しに、えみは何も考えず、言葉が口からでる。
「はい…」
ちょっと、何言ってるの私?!
そんな、鳳くんに私なんか釣り合わないのわかってるのに!?
「本当に…?」
笑顔に変わっていく鳳くん。
「嬉しいよ…俺…。」
引き寄せられ、すっぽりと腕のなかに収まる。
「絶対、守るからね…。」
断る理由なんて無い…。
考えなしに答えてしまったけど、鳳くんの笑顔をみたら正しい選択をしたと思った。
「これから、よろしくお願いします。」
えみは笑顔で告げる。
頭のなかで、跡部先輩の姿が、同じジャージのほかの人に変わっていく。
それはきっと鳳くんだったんだ。
今、頭のなかで、今はっきりと鳳くんの姿に変わった。