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Fake Love

第2章  変化


「ったく保健委員は何してんだよ…」
ため息混じりに呟く日吉くんの声が聞こえた。


「残念ね!日吉くん、諦めて帰っちゃうみたいよ」
女子がヒソヒソ声でえみに言う。



バキッ

「「えっ!?」」

その場の全員が声を出す。


鍵が閉められていたはずのドアが開く。

「ったく、これだから…。」
また日吉くんは呟く。

鍵壊したよ!?日吉くん!

えみの周りにいた女子は青ざめる。
「さっきの聞こえてないよね…」
「大丈夫よ…」


「聞こえたに決まってるだろ。」
日吉は冷たい目で睨みながら入ってきた。
静かながら、軽蔑のこもった声。

「愛内さん、大丈夫?」
続いて鳳も入ってきた。


「あ…うん。」

ボコボコにされずにすんだ…
やっと実感がわく。

鳳は真っ直ぐえみの元へ行き、何も傷はつけられてないことを確認すると、振り返った。

「体調は治った?」
鳳は、体調が悪いといっていた子を睨む。
普段は優しい鳳も、声が怒りに満ちている。

「う、うん。あっありがとっ愛内さん!じゃあ…」

えみを囲んでいた女子は皆走って出ていく。

鳳はえみに向き直り、両肩に手をおいた。

「俺らのせいでこんなことになっちゃったんだよね…ごめんね。」
「ううん!鳳くんが謝る必要ないよ!教室に戻って帰ろ?」

声がすこし震えた。
内心、えみは怯えていた。
またあんな目にあったら…助けが来なかったら。



教室に帰るとき、何も言わないけれど、日吉くんも鳳くんも、すぐ隣を歩いてくれた。

まるでえみを安心させるかのように。


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