第2章 変化
そのころ教室では-
「あ、二人ともおかえり!」
鳳と日吉が職員室から戻ってきた。
「あれ?愛内さんは?」
えみがいないことに気づく。
「なんか、鳳くんのクラスの保健委員が具合悪いらしくて、代わりに保健室開けに行ったよー。」
「代わりに?」
鳳は話にすこし違和感を感じる。
「そんなの愛内が行く必要あったのか?鍵はそいつも持ってるんだろ?自分で開けられるだろ。」
日吉も疑問を感じる。
「そうだよねー。あっ、もう20分も経ってる…」
りさは時計を確認した。
「…ちょっと俺呼んでくる。」
そう言って日吉が教室を出ていく。
「俺も行くよ!大越さんは、行き違いにならないよう、ここで待ってて!」
鳳もあとを追いかけた。
「う、うん!」
りさは日吉がすぐに行動に出たことに驚いた。
どうでもいいとか、先に帰るとか言うと思っていた。
…やっぱりえみのことだからかな?
気になるのかな?
日吉と鳳が保健室に向かうと、中から声が聞こえてくる。
「鳳くんと日吉くんから離れなさいよ!」
「なんの立場で二人につきまとってんの?」
二人は顔を見合わせた。
そのころ中ではえみが答えに迷っていた。
どうして私、日吉くんと鳳くんと一緒にいるんだろう。
なんの立場?私は二人と友達…なのかな?
「あんた、鳳くんたちの何のつもりなの?」
「何とか言いなさいよ!」
詰め寄られる。
ああ、殴られる…。ここが保健室だったのがまだ救いだ …怪我したらすぐ救急箱で…
コンコン…
そのとき、ドアをノックする音が聞こえた。
えみを囲んでいた女子たちは顔を見合わせ、ヒソヒソ声になる。
「鍵は閉めてあるから、だれもいないと思ってすぐいなくなるわよ。」
そしてえみを睨む。
「大声とかだしたらどうなるかわかってるでしょうね!?」
シーンとしたあと、外から声がした。
「頭が痛くて吐き気がして咳が止まらなくて両足ひねって突き指したみたいなんですけど。開けてもらえませんか。」
これ、日吉くんの声だ!!
それでもシーンとする室内。