第2章 変化
つい、その写真だけじっくりと見てしそうになった。
そんなことしたら変に思われるよね。
「ありがとう。面白かった!」
もっと見ていたかったけど、写真をもとの順番に戻して鳳くんに返した。
「もういいの?」
鳳くんはちょっと心配そうに私を見ていた。
ど、どういう意味?
でも、跡部先輩の写真を見てたのは5秒くらいだし、その事じゃないよね。
「うん。みんないい人そうだね。」
えみは笑顔を作った。
「うん。先輩はみんな面白い人だったなー。な、日吉?」
「ああ。」
日吉くんも表情がいつもより柔らかい。
きっと先輩は素敵な人ばかりだったんだろうな。
「二人とも先輩大好きなんだねー」
「うん。」
と笑う鳳くんと、
「別に。」
とそっけない日吉くん。
りさの言葉に対する反応は二人で全然違う。
そんな二人の様子は見ていて微笑ましい。
黙って眺めていると日吉くんと目が合った。
「なに笑ってんだよ、愛内」
「だって…日吉くん素直じゃないなーって。」
「…は?」
日吉くんは怪訝そうな顔をした。
けど、少しばかり照れてるのがわかる。
うわぁ、日吉くんが照れてるよ‼
「あ、俺そろそろ戻らないと。」
時計をみて鳳くんは急いで広げていたお弁当をまとめた。
「日吉、今日部活ないんだよね?」
去り際に日吉くんに部活の確認をした。
「ないけど、お前それくらい把握しておけよ。」
「あはは、悪い。」
鳳くんは爽やかな笑顔を振り撒く。
クラスの女の子何人もを虜にしているスマイル。
「部活ないんだ、めずらしぃー。」
「大越はジロー先輩みたいな話し方するな…。」
日吉くんが言う。
「え、なに?」
「いや、なんでもない。」
「じゃあさー、みんなで一緒に帰らない?えみ、今日保健委員の当番ないでしょ?」
りさが提案した。
「うん。でも…」
えみは日吉と鳳を見る。
二人はせっかくのオフだし…
鳳はえみの思っていることが伝わったのか、
「いいね。日吉もいいよな?」
と、やや強引に日吉くんに問う。
「まぁ…。」
「じゃあ決まりー!」
ということで、放課後は四人で帰ることになった。