第11章 夏の夜の花*伊月*
バスケ部の皆と合流し、花火の時間まで屋台をまわることになった。
大きなお祭りということで、多くの人で賑わっていた。
「火神くん…!あんたそれ全部食べるの!?」
「え?こんなのまだ腹ごなしっすよ?」
火神くんは両手に焼きそばやたこ焼き、焼き鳥など溢れんばかりの食料を抱えていた。
リコ先輩は呆れ顔。
「…。」
「水戸部すげー!射的めっちゃ上手い!」
水戸部先輩がいくつもの賞品に弾を命中させ、歓声を浴びていた。
皆とこうして遊ぶ機会も滅多にないもんな。
私も楽しまなくちゃ!
「俊くん、かき氷食べない?」
隣で皆の様子を眺めていた俊くんに声をかけた。
「そうだな。名前どれがいい?」
私はイチゴ味、俊くんはメロン味を選んだ。
かき氷を受けとると、俊くんは辺りを見回し私に囁いた。
「名前、こっち。」
手を握られ、ぐっと引かれる感覚。
気付けば俊くんが私を連れ、人混みをすり抜けていた。