第10章 恋する香り*実渕*
IH決勝。
周りの人たちが「桐皇の青峰と洛山の赤司が出ていない。」とざわついていた。
赤司くんは学校でも有名なバスケにおいては「キセキの世代」と呼ばれ、勉強でも常に学年一位の「天才」。
バスケに詳しくない私でもそれくらいは知っていた。
コートを見ると、白熱した試合展開。
そういえば私、玲央ちゃんのバスケの試合見るの初めてだ。
華麗なボールさばき。
吸い込まれるように入る3Pシュート。
シュートを止める高いブロック。
格好いい、と目を奪われてしまった。
シュートにいこうとする玲央ちゃんが桐皇の選手2人に阻まれる。
「…玲央ちゃん!」
思わず声をあげてしまった。
その瞬間ボールは彼の手から放たれ、スコアボードに3点追加された。