第10章 恋する香り*実渕*
ツインテール、ゆるめの三つ編み、編み込みアレンジ。
自分では絶対に出来ないので毎日感心してしまう。
彼の長い指が髪に通り、触れてくれることが何故かとても心地よかった。
「名前ちゃん、ちょっと髪痛んできたわね。日射しが強くなってきたからかしら?」
今日はハーフアップにしてくれて、その後髪を手に取り、彼は呟いた。
「玲央ちゃん髪きれいだよねー。何か特別なお手入れしてる?」
そこらの女の子よりも美人で妖艶な雰囲気の玲央ちゃん。
そんな彼に少し憧れていたのも確かだった。
「そうね…。こまめにトリートメントしたり、お気に入りのシャンプー使うくらいよ?」
ふわりと鼻をかすめる花のような香り。
あ、この香り好き。
自然と笑みがこぼれた。
「あたしも同じの使ったら髪つやつやになるかな?どんなの使ってるか教えて!」