第9章 つよがり*火神*
聞き覚えがある、でも久しぶりの声。
夏は暑いくらいのぬくもり。
変わらない柔軟剤の香り。
彼の胸元にはチェーンに通された私とお揃いの指輪が光ってる。
「大我…!」
目を開けると、ちょっと大人っぽくなってるけど、大好きで会いたくて仕方なかった人。
「え…。なんで?なんで、ここにいるの?」
「黒子から名前が入院したってメールきた。最近連絡来ないし、何かあったんじゃねーのかとは思ってたんだけどな。」
「黒子くんが…。」
「…俺のせいだろ?こんなに痩せるまで追い詰めさせてごめん。…我慢させて悪かった。」
大我に抱き締められた体が熱い。
「…大我と離れるの本当は寂しくて悲しくて仕方なかった。行かないでって言いたかった。でも、夢のために心置きなく行ってほしかったから…。」
止めどなく涙が溢れる。
大我はそっと涙を指で拭ってくれた。