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黒子のバスケ*Short Stories

第9章 つよがり*火神*


4月になり、私も大学生になって新しい生活を送っていた。

何人か親しい友達も出来た。
大学の長い講義にも少しずつ慣れてきた。
高校生の時は出来なかったアルバイトも始めた。

毎日充実してて楽しいはずなのに、どこか寂しくてふとした瞬間思い出す。

いつも一緒にいた彼は遠くに行ってしまったのだと。

「名前、元気か?俺は相変わらずバスケばかりの毎日だ。でもかなり充実してる!こっちの選手もレベル高いやつばっかりでますます燃えてくる!お前にも見せたい。」

バスケ推薦でアメリカの大学に進学した大我は、毎日がとても忙しくて楽しいみたい。

1日1通私は必ずメールを送るけど、返事が返ってくるのは3回に1回くらい。

会いたいと思うのは私だけなのかな?

ここで寂しいとか帰ってきてほしいなんて言ってしまったら、彼のキラキラ輝く日々に水を差すことになってしまう。

左手の薬指の銀の環をじっと見つめて、がまんがまん。

「黒子くん!」

「苗字さん、こんにちは。」

同じ大学の黒子くんとは、たまに学校で顔を合わせる。

「もうすぐ夏休みだねー!またバスケ部の皆でご飯でも行こうね!」

「…そうですね。火神くんがいないのは残念ですね。」

黒子くんの表情が少し曇り、はっと顔を上げて私を見た。

「うん。でも仕方ないから。あっ!今日バイトなんだ!またねー!」

大我の名前にドキリとしながら、足早にバイトに向かった。

一人になると大我のことを考えてしまう。

バイトや遊びの予定をたくさん入れなくちゃ。

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