第8章 NOTE*水戸部*
凛くんのシュークリームは私の大好物。
だけど、最近は忙しくてお菓子作りの時間もないようだった。
真っ白のプレートにシュークリームやプチケーキ。
周りにはフルーツやクリームでデコレーションされていた。
「嬉しい!ありがとう!食べていいの?」
ちょっと待ってと、凛くんは早まる私を止める。
ナイフとフォークで大きなシュークリームを切り分ける。
そこから現れたのは、小さな袋に包まれた銀色の環。
驚いて何も言えない私にあの小さなノートを差し出す。
「愛しています。俺と結婚してください。」
彼のがっしりとした文字がノートに刻まれていた。
「…私でいいの?」
嬉しくて嬉しくて、逆に戸惑ってしまった私に、凛くんはそっとキスをした。
「名前じゃないとダメなんだよ。」
そう言っているかのように、私をいとおしげに見つめ頭を撫でてくれた。