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黒子のバスケ*Short Stories

第47章 1st Anniversary*高尾*


自転車置き場が見えてくると、和くんが自転車に寄りかかって待っていた。

「和くん!…これっ……。」

息が切れてしまい上手く話すことが出来ない。

彼はにかっと私が大好きな満開の笑顔を浮かべた。

「嘘ついてごめんな。…とりあえず乗って?いつものところまで行こうぜ!」

和くんの自転車の後ろに乗って、「いつものところ」へと向かった。

何だか想いが込み上げてきて、いつもよりも彼の体に回す腕に力がこもった。

普段なら自転車を漕ぎながら色んな話をしてくれる彼が今日は一言も話さないので、私も静かに風を感じていた。

「いつものところ」である朝の待ち合わせ場所の近くにある公園に到着した。

「今日はさ、どうしてもここに来たかったんだよ。」

最近は自主練の時間が長くなり帰りが遅くなってしまうので、前よりも立ち寄る回数が少なくなっていた。

「名前ちゃん、俺が忘れてるって思った?」

「…だって!和くん何も言ってくれないし!」

「名前ちゃんもじゃん?」

「それはっ…!なんか言いにくくて…。」

「冗談だって!…それも作戦だから、さ。ごめんね?」

何だか翻弄されているような気がして、私はついついそっぽを向いてしまった。

「…名前ちゃん。」

優しい声で名前を呼ぶと、彼は私の左手をそっと取った。

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