第47章 1st Anniversary*高尾*
着替えを終えて、教室へと続く廊下を歩く。
歩きながら、やっぱり考え込んでしまう。
確かに付き合い始めた頃に比べて、慣れてきたからかすっかり落ち着いた空気にはなっている。
和くんは変わらず明るくて優しいけど、最近忙しいし忘れてしまっているんだろう。
ここは、勇気を出して帰りに私から切り出してみよう。
そうこう考えているうちに、教室の前にたどり着いた。
「えっと…和くんのロッカーは、っと…。」
彼のロッカーを開ける。
私は中を見て目を丸くした。
…物が何も入っていない。
そしてぽつんと置かれた小さなカードが目に入った。
ドクンドクンと煩い心臓の音を感じながらカードを見ると、見慣れた和くんの文字。
「1年記念日おめでとう!」
すぐに彼に会いたくなった。
気が付けば彼が待つ自転車置き場へと走り出していた。