第47章 1st Anniversary*高尾*
今日も練習が終わり、試験前なので皆続々と体育館から出ていった。
和くんはいつも最後までマネージャーの仕事をする私に付き合ってくれる。
「あとは、体育館の戸締まりして終わりだなー。」
「うん、いつもありがとう。」
モヤモヤした気持ちはやっぱり晴れてくれない。
まるで顔が固まってしまったように、笑顔を作ろうとしても、いつもみたいに自然に笑えなかった。
すると、体育館の重い扉がゆっくりと開いた。
「高尾、監督が呼んでいるのだよ。すぐに済むから早く来い、だそうだ。」
緑間くんが既に着替えを済ませ、和くんを呼びに来た。
「うへぇー…名前ちゃんごめん!ちょっと行ってくるわ。チャリ置き場で合流しようぜ!」
うん、と私は頷いて、彼の背中を見送った、
「あ!」
彼は何かを思い出したように声を出し、くるりと私の方へ振り向いた。
「俺のロッカーから数学の教科書持ってきてくんね?さっき忘れてきたの気付いたんだよ!」
「そっか…明日小テストだもんね。…しょうがないなぁ。」