第45章 9月9日*桜井*
まず良くんが取り出したのは大きな包み。
ラッピングをしゅるりと解くと、現れたのは。
「エプロンだ!」
「お料理好きならいくつあってもいいかな、と思って。」
黄色とオレンジと茶色が入った蜂蜜みたいなチェックのエプロン。
絶対良くんに似合うと思って、一目惚れした。
「毎日使うよ!ありがとう!…もう一つは…。」
そう言って小さな包みを取り出して、今度は大きな目を丸くした。
「カップケーキ!?名前ちゃん料理あんまり得意じゃないって…。」
彼の手の中にあるのは可愛くデコレーションされたカップケーキ。
「…良くんいつも人に作ってばっかだから、何か作ってあげたかったの。」
「…!もしかしてその指…。」
彼は何かに気付いたように私の手元に視線を落とした。
「練習してたら、オーブンで火傷しちゃった。」
「わぁぁ!僕のためにスミマセン!」
「謝らないで!」
私はついつい強く言葉を発してしまった。