第42章 カウントダウン*笠松*
「…何泣くまで我慢してんだよ!」
「笠松先輩…?どうして…帰ったんじゃ……。」
私を抱き締めているのは紛れもなく想い続けている彼。
「…お前ずっと俯いてただろ。いつもしっかり前見てるのに。」
あぁ、そうだ。
重い荷物を運んでいる時や、体調が悪い時、悩んでいる時。
いつも最初に気付くのは笠松先輩だった。
「…私、先輩がいなくなるの嫌です!だって…私……。」
涙を止められずぐしゃぐしゃの顔で、精一杯口にした言葉だった。
その先を言えずにいると、先輩が私を真っ直ぐ見つめて言葉を続けた。
「チームを陰から支えるのがマネージャーなんだろ?…じゃあ誰がお前を支えるんだよ。」
「…わかんないです。」
「俺がお前を支えるから。…だから泣くな。泣かれるとどうしたらいいかわかんねぇよ。」
そう言うと、ジャージの袖で私の涙を拭った。
耳まで顔を真っ赤にして照れている顔を見ると、彼も私と同じ気持ちだと思っていいのかな?
「先輩、顔赤いですよ?」
「お前こそひでぇ顔。」
お互い見合って、思わずぷっと吹き出してしまった。
「先輩、未だに女の子は苦手なんですか?私のこと抱き締めてるじゃないですか。」
「…お前は特別。」