第42章 カウントダウン*笠松*
コートにいる選手も。ベンチや応援の皆も。監督も。私も。
全員全力で誠凛と戦った。
だけど、春のリベンジを果たすことは出来なかった。
黄瀬は号泣してたし、涙を浮かべる選手もたくさんいた。
だけど、どこかスッキリして見えてやりきった感じに見えた。
控え室で3年生の最後の挨拶が始まった。
「…最後に、笠松。」
監督から促され、笠松先輩が口を開いた。
「俺たち3年は今日をもって引退する。」
その言葉を耳が聞き取った瞬間、一気に心が重くなった。
「バスケ部」という繋がりが消え、先輩が卒業すれば「学校」という繋がりも消える。
何もなくなる。
私は込み上げてくる涙を抑えるのに必死だった。
俯き、唇を真一文字に結ぶ。
絶対に泣かないって決めたから。
「このチームの主将をやれたことは、俺の誇りです。」
先輩がキャプテンじゃなかったら、私もこんなに頑張れなかった。