第42章 カウントダウン*笠松*
「笠松先輩、スカウティング用の資料です。」
「おう、サンキュ。じゃ、始めるか。」
チームの皆はとっくに学校を出たけれど、キャプテンの笠松先輩とマネージャーの私は居残り。
月曜日にチーム全員でWCに向けてミーティングをするので、強豪校を先にチェックしておくことにした。
「…改めて見ると、春に練習試合をした時とは歴然の差ですね。」
「あぁ。誠凛は試合を重ねるたびにどんどん進化してる。…気は一切抜けねぇぞ。」
誠凛の試合のDVDを観ながら、改めて気持ちを引き締める。
二人きりの教室。
先輩は何も思っていないみたい。
まぁ最初はまともに話してくれなかったから、かなりの進歩かな。
「…もうすぐですね。」
「…あぁ。早く始まってほしいけど…終わりたくねぇな。」
その言葉の二つの意味を先輩はちゃんと理解してくれた。
WCが「もうすぐ」始まる。
同時に、先輩たちのバスケ部での日々が「もうすぐ」終わる。