第39章 夏の終わり*高尾*
窓の外には太陽の光が反射して、きらきら光る水面。
「…海だー!」
「夏っぽいっしょ?お、次で降りるよ。」
電車を降りると、潮の香りがふわりと鼻を掠めた。
「この駅って…。」
「そ、合宿の時に来たところ。あの時は海が目の前だったのに全然遊べなかったもんなー。」
毎年ここで1軍の強化合宿が行われているけど、いつも体育館と宿の往復で海で遊んだことはなかった。
「さすがにもう泳げないけどな。浜辺に降りてみようぜ!」
「うん!」
私たちは浜辺へ降りる階段へと向かった。
「あ、この階段急だわ。危ないから手貸して?」
差し出された手に甘えて、砂を踏み締めた。
「名前、砂に足とられて転ぶなよー。俺まで巻き沿いになるじゃん。」
「なっ…!転ばないもん!」
むぅっと唇を尖らせると、ごめんごめんって謝りながら彼は海まで手を引いてくれた。